焼き物ができるまで:隠れ道陶房の作業工程

「焼き物は簡単にできる」と思っている方も多いようです。どんな仕事でも大変なのだと思いますが、 実際にその作業に携わってみないと、その大変さは分からないものです。隠れ道陶房の作品ができるまでを、 大まかにご説明したいと思います。

1.土こね:用途に合わせて何種類かの土を使い分けています。まず土をこねます。土をこねるのは、土全体の固さを均一にするためと、 土に混ざり込んでいる空気を抜くためです。大変力のいる重労働です。

2.成形:ろくろなどを使い形を整えます。他にも「たたらづくり」と呼ばれる技法や、 鋳込みによって整形したり、土を「彫刻」して作ることもあります。
3.仕上げ:半乾きの状態の時、カナ(陶芸で使用する成型用の刃物)で高台や全体的な形を整えるために削ります。 形が整ったら水拭きをします。


4.乾燥:成形したものを完全に乾燥させます。季節や天候にもよりますが、2~3日。大きなものだと何週間も乾燥させます。

5.素焼き:乾燥したら窯に積みます。絵も描いてないし、上薬もかかっていません。 これは素焼きという段階で、一度860度位の低い温度で焼き締めます。 こうすることによって「生地」が強くなり後の作業がしやすくなります。 前の段階でよく乾燥させたのは、素焼きの段階で湿気を含んでいると、割れてしまうことがあるからです。 磁器はとてもデリケートです。

6.絵付け:素焼きが終わると、絵付けの作業に入ります。写真は絵付けに使う道具や絵の具です。 最近は陶芸を趣味でやる方も増えてお店でいろんな道具を売っていますが、 それを自分たちの使いやすいようにさらに改良して使ったり、自分ではじめから作ったりもします。 良い作品を作るには道具から作るわけです。
剛平作の作品は、まず鉛筆で生地に下書きをし、ゴスと呼ばれる絵の具で絵付けをします。 筆で焼き物に絵を描くのは大変やりにくい作業で、慣れないと線がへろへろになってしまいます。 剛平作の焼き物は、この線が命です。作品の特徴は「陶房のご紹介」のページでご紹介しております。


道子作の作品は、先を鋭くとがらせた「剣先」と呼ばれる刃物で繊細な線を生地に彫り込んでいます。 生地の硬さや力のいれ具合で細くても様々な線が出ます。筆で線を書くのは大変ですが、 線を「彫って」表現するのも難しい作業です。「線」には作家の経験や個性が表れます。

7.絵付け2:絵付け第二段階です。剛平作の作品は線を描いたものに濃度の違う絵の具でさらに絵を描き加えていきます。

道子作の作品は、ここからさらに手間のかかる作業が続きます。まず彫り込んだ線に薄い絵の具を流し込んでゆきます。 そこからさらに、葉や花の一つ一つに、2〜3種類の絵の具を塗り重ねていきます。

8.施釉:下絵付けが終わると、上薬かけです。全体の上薬の厚みが均一になるよう気を付けてかけます。 「上薬」は「釉薬」ともいいます。いろんな鉱物などを調合してすりつぶしたもので、焼くと溶けてガラス質になります。 釉薬にもこだわります。いろんな効果をねらって、いろんな質感や色を持つ釉薬を自分で調合して作ったりします。


9.仕上げ:釉薬をかけ終わると、手の後などをきれいに仕上げます。 一つ一つ釉薬の泡によってできるピンホールなどをなおして行きます。
10.窯詰め:やっと焼き物は「本窯」にはいります。火の周り具合や、絵の具の性質、 釉薬の性質なども考慮に入れながら、焼き物を積み上げていきます。

11.本窯焼成:後は火を付けて焼くだけ・・・というわけには行きません。そのまま焼いてしまうと、 焼き物は「酸化」して、黒ずんでしまいます。「還元」という特殊な方法で、窯の中を不完全燃焼の状態にすることで、 磁器の白い色はやっとでてきます。本窯で15時間ほど焼きます。最高の温度は1300度を越えます。 そこまで温度を上げることによって釉薬の澄んだ透明感が引き出されます。

12.窯上げ:何時間もかけて焼き上げ、何時間もかけてその温度をさまします。 窯を開くときが一番どきどきします。思い通りに焼けていなかったり、焼くときの収縮に耐えきれず割れてしまったりもします。 けれど作品が思い通りに焼けていれば、それまでの苦労は吹っ飛びます。 そして、焼き物は窯から出した瞬間が一番きれいなのです。

13.上絵付け:本窯から出せば完成の作品もありますが、上絵付けはここからさらに作業が続きます。 上薬のかかったつるつるの焼き物の上に、上絵の具で色を付けていきます。上絵の具は扱いが難しく、 濃度などが微妙に違うと、焼き上がった後に絵の具にひびが入ってしまうこともあります。

14.赤絵窯焼成:上絵付けが終わると、上絵専用の窯に入れます。そこでまた800度の温度で焼き上げます。 上絵を付けた焼き物は合計3回も焼くことになります。これでやっと完成します。

最後までごらんいただきありがとうございました。